祈りには、精神的にはもちろんのこと、潜在意識に働きかけることで肉体的にも安定をもたらしてくれると言われています。
では、私たちがその祈りの効果を最大限に得るためにはどのように行なえば良いのでしょうか?
今回は、あなたの祈りの質を高めるための祈りのやり方について詳しくご紹介していきたいと思います。
祈りを行なう際の前提
効果的な方法や作法について考える前にまず大切なことですが、祈りを行なう際には、まずは気持ち、特に感謝の気持ちを意識することが大切です。
というのも、どんなに丁寧に作法通り行なったとしても、心がこもっていなければ祈りには意味がないからです。
たとえば神道には「神は人の敬いによりて威を増し人は神の徳によりて運を添う」という言葉があり、神様を敬い感謝することで初めて神様の力は増し、そして人はその力で神様の加護が得られる、と言われています。
キリスト教の場合は「神は私たちが望む以上に進んで私たちに良きものを与えたいと望んでいる。お願いする必要はなくただ神に語りかけること」という言葉があります。
信じている宗教を問わず、私たちを守ってくださっている神様への感謝の気持ちを込めて祈ることはやはり大切なのです。
祈りに宗教って必要?
日本ではさまざまな宗教を信仰している人がいますよね。それぞれの宗教によって一神教・多神教だったり、自然信仰や先祖崇拝だったりすることもあります。
また、特定の宗教を信仰していないという人も一定数いることでしょう。
祈りの前提として、神様への感謝の気持ちが必要だという話をしましたが、実はどれかの宗教を信仰することだけが祈りに必要というわけではありません。
というのも、祈りには自分自身との対話という側面もあるからです。
もし、今特定の宗教を侵攻しているわけではないのなら、自分の中のもう1人の自分を意識して祈ってみるのも良いでしょう。
自分自身と対話しようとする時、人は普段は意識していない自身の本音やどのように生きていくべきかという声に気づくことがあります。
その声は、あなたに普段の生活では得られない気づきを与えてくれることでしょう。
そう思うと、自身との対話のために祈る行為は、自分の中にある神様の声に耳を傾けるのと同じような行為だと思えてきませんか?
具体的な祈りの方法について
ここまでは祈りの前提について見てきましたが、ここからはより詳しく、祈りの具体的な方法について見ていきましょう。
祈る対象
例えばあなたが信じているのが神道なら、キリスト教やイスラム教のように聖書や聖典などが存在しないのと同時に、教祖や創始者のような存在もいません。
代わりに、森羅万象あらゆるものに神が宿るため、神社や神棚であったり、山や岩などが祈りの対象となるでしょう。時には祖先を神格化して祈ることもあるかもしれませんね。
対照的に、キリスト教の祈りの対象は、万物の創造主であるところの神です。宗派による多少の違いはあれど、神道のように自然物や創造物に対して祈りを捧げることはありえません。
同様に、イスラム教の場合も、偶像崇拝が禁じられています。そのため、信徒が祈りを捧げ、ひれ伏す対象は唯一神であるアッラーフのみです。
また、イスラム教の場合は、聖地メッカの方向にひれ伏し、祈りを捧げる習慣があります。
このように、形式に違いはあっても、信仰する宗教があるなら、その宗派に見合った祈りを捧げるのが通例といえます。
もし特に信仰している宗教がないようであれば、自身の中に思い描く神様に祈りを捧げても良いでしょう。
場所や時間、人数、服装など
神道の場合は、神社での参拝が一般的といえます。服装に関しては特に決まりはありませんが、神様に対して敬意を表すことを考えると、正装の方が好ましいかもしれません。
祈り方はお賽銭箱の側に書いてあることが多いですが、2礼2拍手1礼が基本です。
なお、祈りの際には、以下のような祈りの言葉を口にすると良いとされています。
「祓え給い(はらえたまい)、清め給え(きよめたまえ)、神ながら守り給い(かむながらまもりたまい)、幸え給え(さきわえたまえ)」
上記は、健康で幸せに暮らせますようにという意味を持っています。古くより言葉には霊力が宿っており、口に出すことでその効果をさっきするといういわゆる言霊が信仰されていますが、私たちが日々健やかに過ごすための基本的な願いを込めた言葉として、これほどぴったりなものはないでしょう。
なお、神道の場合は特に人数の決まりはありません。もちろん、神様に祈るのは他ならぬ自分なので、祈りを捧げる時は一人の方がいいとも言われていますが、たとえば同じ望みを持っている人たち同士なら、2人以上でも問題ないからです。
次に、キリスト教の場合は、朝や食事前、寝る前などの祈りがあるように、毎日の生活の中で祈りを取り入れる場面が決まっています。
また、日曜日には主日礼拝という、教会で行われる儀式もあります。主日礼拝では讃美歌が歌われたり牧師・神父による説教、神を賛美する祈りの儀式が行われています。
イスラム教の場合は、日の出前・お昼過ぎ・おやつの時間・日没前・就寝前と、1日5回、アッラーフと気持ちを通じ合わせるために祈りの儀式が行われます。
そして!日の出と日の入り、正午に関しては礼装が禁止されています。
服装に関しては、男性は下半身を布で覆い、女性は手と顔以外の全てを服で隠さなければならない決まりがあります。
なお、ここまでは代表的な宗教の祈りの形式などについて取り上げましたが、もしあなたが特定の宗教を信仰していない中で祈りを生活の中に取り入れたいようであれば、1日の節目となる時に行なうのが良いでしょう。
たとえば起床直後や就寝前、食事の前や、仕事・勉強などに取り掛かる前などが良いかもしれません。もちろんここに挙げた例以外の時でも構いませんが、気持ちを入れて何かしらの行動に取り掛かる前に取り入れてみると良いでしょう。
指示型と非指示型という祈りの種類
祈りは、実は指示型と非指示型の2種類に分類することができます。
たとえば、神社での○○祈願や願掛けなど、神格化されているものに対して具体的に何かをお願いすることは、指示型の祈りとなります。
そうではなく、たとえばキリスト教やイスラム教などの創造主・神様に、日々の感謝を宣べ、物事の結果は創造主・神の御心に委ねるお祈りは、非指示型の祈りとなります。
ちなみに、アメリカの実験機関である「スピンドリフト」によると、非指示型の祈りの方が指示型のものと比べて2倍以上の結果が得られたのだとか。
上記のことからも、祈りを行なう際には感謝の心を忘れてはならない、ということがよくわかりますね。
祈りの内容について
キリスト教の場合、祈りには自身の醜い心や弱い心を排除して自己の成長を願うもの。広く周囲の人々を愛する心、人々の役に立ちたいという欲求の向上。そして、神への愛と感謝、周囲の人々の幸福が続くことを願う心などが含まれたもののことを主に言います。
神道の場合は人の不幸の原因は「我」にあるとされており、自分の欲求ばかりを願っても、神様は受け入れてくれないとも言われています。
このことから、祈りの内容に相応しいのは、神様への感謝を伝えること。そして、他者のためになれるような自身の目標や行動に対する誓いを立て、それを達成するためのお力添えをいただきたい旨を伝えること、であることがわかります。
祈りを終えた後に大切なこと
神道の場合、特に神社での参拝に際しては、祈りを行なった後は1礼することが基本となっています。
また、神社に参拝する際は、鳥居が俗世との結界であるとされているため、この結界を出る際に鳥居に向かって1礼することが礼儀だとも言われています。
祈りは礼に始まって礼に終わる、というのが神道の基本的な考え方なのです。
対してキリスト教の場合、祈りの後には瞑想の時間が設けられることがあります。
この瞑想の時間では、心の中に神様からの答えがいただけることがあると信じられているためてます。
その瞑想中に神様からいただいた言葉に耳を傾け、それに対する自分の思いを伝えるという、神様との対話の時間がこの瞑想の意義なのです。
最後に
今回は祈りについて、前提となる心構えや行なう際の作法などについて、代表的な宗教のものをメインに紹介してきました。
基本的に、祈りとは自分の中にいる神様と対話です。具体的に信仰する宗教があるなら、その宗教が定義する神様が対話の相手になるでしょう。
ですが、特に熱心に信仰している宗教がないからといって、あなたの中に全く神様がいないわけでもありません。
具体的に対話の相手を思い浮かべられないと難しいと感じるなら、ご先祖様のことを思って祈りを捧げてみるのも手です。
どんな相手と祈りという名の対話を行なうかも大事ではありますが、祈りを捧げる上で何より大切なのは、感謝の気持ちと他者への思いやりです。
その心を忘れず祈り続けることで、私たちの潜在意識に力を与え、私たちの生活に今以上の豊かさを与えてくれることでしょう。